戯言がいっぱい。

めもちょー

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Successor Of Dragon  その65

主人公の過去。でも彼の目線だから淡々と。
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  1. 2010年10月26日 22:06 |
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Successor Of Dragon  その64

7章はじまり。過去編。
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  1. 2010年09月15日 23:08 |
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Successor Of Dragon  その62

6章終わり。
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「楔は、一つは貴様にかける封にする。もう一つは、アルフェイリア国王に施す治癒魔法だ。忘れるな。解呪が終わったからといって貴様は解放された訳ではない。その後も戯言を吐けば、アルフェイリアの命など脆く散る」

「言われるまでもないことだ。そうでなければ、お前は国王代理の座を今すぐ誰かに譲るべきだ」

 確認を兼ねた挑発のつもりだったのだろう。回りくどい話し方をしていてもその話の内容はどこか幼さを伺わせる。やはり、ただの麒麟児。俺達不老不死の仲間ではないということか。


「……減らず口を」

「それで、誰が魔法陣を用意するんだ? 何なら俺が書いてやってもかまわんが」

「貴様の手など借りぬ……と言いたいところではあるが、貴様が魔法陣を描く最後の機会となろう。貴様がこの世で行う魔法使いとしての最後の仕事、存分に堪能するが良い」

 それは半分本心なのだろう。奴は万能の国王という自分にとっての理想像にしがみついているように感じる。そこには確かにせめてもの寛大な慈悲を与えてやろうとの半ば自己満足的な気持ちが含まれている。


「では、精々張り切らせていただくか。だが……」

「今の貴様の魔力では張るのも辛かろう。差し出がましい真似は止すがよい」

 そう言って奴は魔法陣の基盤となる下地を真っ白い床にひいた。張る速さは俺と同等。しかし、その精巧さ、人の手ではおよそ生み出すことができないと思われる程に違和感のある正確さは俺には真似できない。

 奴は自分の仕事を終えると、どうだと言わんばかりに勝ち誇った笑みを浮かべてこちらを見た。俺に対する見え透いた挑戦。

 俺はそれを真に受けたふりをして少し乱暴に地面に座り込んだ。想像していた通りのひんやりとした石の冷たさを感じながら、俺は丁寧にも自分の指で魔法陣を一筆一筆丁寧に書き加えていった。

 それはこの一ヶ月もの間ずっと奮闘していた魔法組合の防壁に施したような退屈で単調な作業とはまるで正反対の行為だった。同時に俺はまるで魂を刻むかのようなこの作業にひどく懐かしさを覚えた。いつぶりであろうか。こうして自分の身を削るようにして本気で魔法陣を描くのは。思えば随分とご無沙汰であったものだ。このような気合の篭った魔法陣こそ、魔法使いとしての腕を上達させるのにもっとも適した理想の形。それがこうして窮地の状態に追い込まれている今だからこそ味わうことができるという皮肉が可笑しくて耐え切れず、俺は低い笑い声を立てた。奴は訝しげな表情をして鎮座する俺を見下ろしている。俺がこの状況下において嘲るように笑うその意味を必死に考えているようだが、無駄なこと。お前ではどう頑張ろうと分かり得ぬことだ。


「何を笑うことがある」

 何をとち狂ったのか、今の奴の言葉にはそのような意味が組み込まれている気がした。


「何を、だと? ふふふ、ふははは!! 可笑しくてたまらんから笑っている。ただそれだけだが?」

「それが解せぬというのだ。それは貴様のこれからの運命に絶望したからなのか、それとも別の理由があるのか! 答えろ!」

「何を偉そうに命令していやがる。実質的な契約は未だ不成立だってことぐらい分かっているんだろう? 何故俺がお前の馬鹿げた質問に答えてやらなきゃならん。思い上がるなよ若造が。もう少しまともな質問をするというのなら考えてやってもよいがな」

 途端に奴の青白い顔色は正反対の色に染まりあがった。誰が見てもよく分かるほどに怒りを表した奴は、だがしかし少しの間黙りこんだ。俺はその間にも魔法陣に描き続けた。真っ白い床にひたすら指で文字を描いていく。その光景を魔法に明るくないものが傍目に見たらさぞかし滑稽に映ることであろう。

 そして奴自信も気づかぬ内に、いや、もしかしたらもう気づいているかもしれないが……俺と奴の立場は逆転していた。この部屋へ訪れ、奴と対面したばかりの頃は俺が契約を一方的に望むという圧倒的に弱い立場であったが、今やその契約を成立させたいという思いは奴のほうが強くなっている。奴のほうがこの契約に利を強く見出しているのだ。そしてそれは自分の国のためというよりは、奴……セイ自身の純粋な興味のためである方が大きいようだ。少なくとも俺にはそう見える。俺が持つ千年の歴史、奴にとってそれがどれ程魅力的に映っているのか俺は測ることはできないが、その態度で一目瞭然だ。だがその一方で、奴の表情に別の意味での陰りが見えた。


「聞こえぬのか、シャドウ・ディスケンスよ」

 俺はただ黙々と自分の成すべきことをこなしていく。奴は俺の返答を待たずして続けた。それは半ば独り言のようだった。


「この嘆きが聞こえぬのか!! 貴様の才が哀れな持ち主に訴える、この悲痛な叫びが聞こえぬのか!!」

「俺の噂はそれ程肥大していたか? 哀れだな。所詮お前も俺の幻影に踊らされていただけにすぎん。才があるなどという錯覚をするからこうなる」

「黙れ! 黙れ黙れ! 貴様には俺の怒りなど分からぬ! ……分からぬのだ。貴様の魔法を殺す俺の心境を察することなど……」

 魔法陣に使われている言語は、元々俺が日常的に使っていた言語。使いこなせないはずがない。簡潔かつ明瞭に描けば描くほど魔法陣はより小さく収まる。小さく収まればおさまるほど密度は高くなり、優良な魔法陣となりえる。だから俺の描く魔法陣は、いかにレヴァノイアの国王代理といえども到達できない程の質を誇っているはずだ。だからこその奴の発言だろう。奴は本来ならば俺から魔法を奪いたくはないのだろう。俺を拘束する、魔法組合長を拘束することはすなわち魔法を封じることだ。サドゥアの魔法陣を互いに遵守する限り、俺は二度と魔法使いとしての活動を行えない。それが奴を苦しめている。どうやら、奴は心の底から魔法という学問に没頭しているらしい。魔法こそ我が人生を懸けるべきものと注いでいる……そう、俺と同じく。そして、いずれは誰よりも、クロウよりも優秀な魔法使いになるだろう。このまま奴が生きていくことができるのなら。

 不毛な言い争いは、俺にサドゥアの魔法陣を描かせるのに十分な時を与えた。俺は思惑とは裏腹に充実した気持ちを抱えたまま立ち上がり、先ほど奴が向けてきたように挑戦的な笑みを浮かべた。


「さて、分かるとは思うが完成したぞ。いくらでも確認するといい」

「そんなものは必要ない」

 それはそうだろう。何しろ奴は俺の工程を終始見続けていたのだから。条件の確認などは今更行うべくもない。奴は誰が指図せずとも魔法陣の真ん中に立ち……いや、浮かび、これから俺の誇りを握る綱である魔法を発動させた。

 実際の魔法陣の発動は、それまでの無駄に賑やかであった魔法陣造りと比べ、えらく淡々としたものだった。

 たとえどんなに精巧な地図が描かれていようと、それを使いこなすだけの技量がなければ無意味となり、たちまち路頭に迷ってしまう。魔法陣もそれと同じ事で、どんなに正確で密度の濃い良質の地図……魔法陣を提供してやったとしても、実際の魔法使いの実力がそれに追いついていなければ、単なる汚い落書きと化してしまう。

 つい癖で、俺はサドゥアの魔法陣の発動を瞬き一つもせずに見守っていた。そして文句の付け所がひとつもないその完璧な動作に違和感を覚えた。今まで、俺が見る俺以外の者の魔法陣の発動といったら半人前の弟子どものそればかりであった。頼りない動作一つ一つが、俺に魔法陣の無駄遣いによる憤りを感じさせては、仕方のないことであるのにいらぬストレスを溜めていたものだ。

 それにしても精錬された動きだ。美しさすら感じる。15の若き君主だとは思わせぬ程だ。

 奴は何事もないかのようにその動作を追え、俺に小さな黄金作りの髪耳飾りを渡してきた。何か文様の刻まれた円錐型の小さなピアスで、今奴がしているそれよりも一回り小さいもののように見えた。


「こいつが楔か?」

「その通りだ、俺が貴様にかける封は貴様がそれを所持している限り俺が約束を破った瞬間に解呪される。貴様が俺を謀れば、俺はこれを通してそれを知ることとなる」

 言いながら奴は対となるもう一つの耳飾りを掲げて見せた。サドゥアの魔法陣の実質的な効果は、全てこの楔となる小物(対象は魔法発動者が好きに決めてよいが、必ずある程度形の似ているもの二つでなければならない)に集約されているといっても過言ではない。契約当時者にとっては命と等しく大事なものといえる。

 奴はしばらくの間その耳飾りを見つめた後、俺に座るよう促した。いよいよか。いよいよ奴の質問攻めにあう時なのか。俺はある程度の覚悟をし、その椅子の高価さをまるで考慮せずに乱暴に腰掛けた。


「茶は好きか? レヴァノイアの茶葉は良質でな。ル・ルヴァオールの如き蛮国とは比べ物にならん程豊富な茶の種類に恵まれているのだ」

「いらん。回りくどいことはよせ。さっさと本番に入ったらどうだ、それがお前の望みだろう。一つ言っておくが、俺を束縛するものは今ないぞ。この場合はサドゥアの魔法陣の効果範囲外だ。嘘偽りなき問答の保証ができんな」

「不老不死とは喉も渇かぬものなのか? 俺がこれより行う尋問が生易しいものだと見縊られているようだが、感心せぬぞ。」

 早く本題に入りたいという心を隠すための、余裕を見せ付ける行為。こういうところがまだこいつが年端もいかぬ子供だということの証なのだろう。全くする必要のないところで見栄をはってしまう。


「それでは聞こうか。魔法王国ヴァンガードの建国から、滅亡に至るまでの歴史を」

 いきなり長期戦を挑んできやがった。

 そういえば今の時刻は、一体いつなのだろうか。俺が魔法組合を飛び出してクロウにここに飛ばされた時にはもう空は完璧に黒に染まりきっていたはずだ。

 今は深夜。ほとんどの者が活動をすることのない時間帯のはずだ。

 目の前のこいつが激務に追われていないはずがない。睡眠は足りるのか?
 それとも、こいつには寝るという行為そのものが必要ないのか?

 そんなことを考えながら俺は答えた。


「いいだろう。そんなに聞きたいと言うのなら教えてやる。……事実をな」
  1. 2010年05月29日 04:19 |
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Successor Of Dragon  その62

しゃぶしゃぶうんめぇ
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「交渉は成立と受け取っていいんだな? 知ってのとおり時間が惜しい。お前だとて俺がこのまま何の不自由も無く城内にいるこの状態を長引かせるのは得策ではないだろう。だがお前も魔力を大量に消費した後だというのは分かっている。今すぐにとは言わんが……」

 今持てる魔力が少ないとはいえ、この城内に修復し難い傷跡を残すことはできる。奴の魔力も大量の空間転移のせいだろう、残り少ない(もっとも、平然と浮遊魔法を使っていられるだけの余裕があるところが狂っているのだが)。俺のそうした不意打ちを咄嗟に防ぐことは困難だ。


「待て。まだ成立とは言っていない。……これはもともとそちらの無理難題を通すものだ。故にこちらにもう一つ条件を加えさせてもらう。否定は聞かんぞ」

「……何だ。俺が持つ最後の財産、命を投げ出そうというんだ。もう俺には何も残ってはいない。欠片たりとも」

「ふん、愚か者め! 俺は貴様の命など最初から不要であったのだ。だがしかし、その知識は! 千年という月日が貴様に齎した掛替えの無い叡智は別だ。貴様に如何に罪があろうとも、貴様の持つ知識、古の歴史の真実の重みと魔法の美が綻ぶことはない。使い手を選ばぬ、それこそが魔法。だから俺は、貴様が……どうせ貴様はこれから永遠に自由を奪われる。今まで編み出されてきたどんな封印よりも強固な封をされて、永久の時をその中で過ごすこととなるのだ。その間、俺の質問に偽りなく答えると約束しろ」

 当然といえば当然の言い分だ。成程、やはりといえばやはり、少し警戒はしていたが、どうやらこいつは他人の記憶を読み取ることまではできないようだ。他者の記憶を読み取る魔法も、これまた研究に研究を重ねられてきた。だが実現はしていない。せいぜい幻影魔法をかけて自白させるのが関の山だ。それだとて本来の目的からずれているし、何より相手を己の術中に捕らえねばならないという制約もついている。


「お前は虚実を見分けられるのか?」

「その質問、貴様を疑ってかかれということだな。ふん! 一つでも虚言を吐いてみろ、すぐに契約を破棄してやる。倒すべき相手国の王を治すまではこの俺が直々に質問攻めにしてくれる。たった一つでも嘘偽りを告げてみろ、その瞬間全てが露と化すのだ」

 さて、こいつは少し困ったことになった。だが逆に、こいつがどこまで知っているのかを把握するチャンスでもある。どうして俺とレジー以外決して知りえるはずのない過去を知っているのか。レジーが教えたのか? いや、馬鹿な。それこそ有り得るはずがない。俺は自分の口の堅さに一応の自信は持っているが、レジーと比べてしまうと流石に劣る。


「承知した。お前の質問に偽りなく応えること、俺の身をこの地に拘束することが俺が提供する条件だな?」

「……俺はアルフェイリア国王にかけられた『マリウス』を解く。貴様がここに来たということは、既に奴の身体に浸透してしまっているのだな。……相当に困難な所業となるが、知らぬ魔法ではない。それを解呪することなら可能だろう。いいだろう。だが、その後は知らん。命の保証はしてやるが、アルフェイリア国王はもう二度と武器を手に戦うことなどできなくなっているのかも知れんぞ。そうなってしまえばル・ルヴァオールに望みはない。シャドウよ、貴様とアルフェイリアのおらぬ脆き国に我がレヴァノイアは万が一にも負けぬことなど有り得ぬ。それでもよいと言うのだな? 貴様はアルフェイリア国王なき今のル・ルヴァオールの唯一の望み、救いなのだということを理解しての行為なのだな?」

「そのつもりでなければ、全て覚悟していなければ、ここに来れると思うのか?」

 本来は済し崩し的にクロウに飛ばされて来ただけのことだったのだが、今となってはどうでもいいことだ。アルフェイリアが回復する。たとえ剣を握れぬとも、奴が号令をかけさえすれば水を得た魚のようにル・ルヴァオールの国民どもは息を吹き返すだろう。俺は見てきたのだ。アルフェイリアの号令の元駆ける奴らのエネルギー、その爆発的な力を。こいつは知らないのだろうか、戦において士気がどれ程重要なものであるのかを。それは俺の存在を犠牲にする価値が充分にある。もとより、俺は既に自分自身を見限っているのだ。有難い申し出だ。


「愚問であったようだな。では、三日後に向かうとしよう。アルフェイリアの置かれている位置を教えるがよい。そこへ跳躍する。……それと、俺は貴様に雇われた流浪の魔法使いであるということにしよう。押し入るには貴様の直筆の書簡が必要だ」

「勿論だ。だが……互いのため、互いに制約を守るために俺はサドゥアの魔法陣を使用することを提案させてもらおう」

「ふん、考えることは同じだというのか。さて、では貴様の条件付けを聞かせてもらおうか」

「お前が、お前の正体を俺の組合員どもに明かさずにアルフェイリア・グロスヴァンドがレジーにかけられた魔法を解呪すること。そしてその間解呪に関係のない余計な動作を行わず、最短の道でこの城とアルフェイリア・グロスヴァンドの元を往復すること。そして、俺が教えた唯一外部の魔法の干渉を受ける空間を上記の目的以外に利用しないこと。ル・ルヴァオールとの戦にあたって、そこで得た情報を役立てないこと」

 サドゥアの魔法陣。必ず破られることのない契約を行うための魔法陣だ。アルフェイリアが家臣と交わす服従の誓いはこれを応用した一つの形でもある。お互いに守るべき条件を定め、どちらか片方がそれに違うと契約破棄となり、もう片方の約束事もなかったことになる。つまりこの場合、もしも奴が俺の提示する条件を破って魔法組合に内側から攻撃をしかけでもしたら、俺を拘束する魔法もとかれ、俺は自由の身になるということだ。

 この条件はそのままの文を魔法陣に古代語で書き込む。万が一を想定して条件は的確に性格に明記せねばならない。サドゥアの魔法陣とはそういうものだ。俺はこの魔法陣の使用経験では並みの魔法使いの比ではない。だからこそ当意即妙にすらすらと条件を言うことができた。


「……ほほう、随分と念入りだな。成し難いことよ。全て呑む訳にはいかんな」

 やはりそうか。もしこのような条件を全て呑むようならば、レヴァノイアは残念な君主を仰いでしまったものだと同情せざるを得ないところだ。


「解呪に関係のない余計な動作は行わず……これは難しい。貴様の組合の興味を惹かれる物に目を向けただけで成り立ってしまうからな。貴様の組合に実害を一切及ぼさない、と定め直してもらおう」

 俺はその条件に綻びはないか、重大な欠陥がないかしばらく考え返答した。


「……いいだろう」 

「もう一つ。ル・ルヴァオールとの戦にあたって、そこで得た情報を役立てないこと。これは広義に取れば何でも該当してしまう。情報とは、そこで見たもの聞いたもの全てだ。だから俺はその条件をル・ルヴァオールとの戦にあたって、意図的に得た情報を利用しないこと、と訂正することを要求する」

 成程、いいところを指摘する。流石に麒麟児と呼ばれているだけのことはある。


「……それならば、他者にそこで得た全ての情報を提供しないこと、と付け加えてもらおうか」

「ふむ。承知した」

 組合の内部構造を知られてしまったとしても、奴が直接手を下すことといったら隕石降下魔法のような大掛かりなものばかりであろう。知っていようとどうであろうと同じこと。それよりも、奴の部下どもに構造が知れてしまうことの方が余程まずい。何も知らぬ者に攻め込まれるよりも容易に最深部まで乗り込まれてしまうだろう。それが避けられるのならば問題はない。他の命令にしても、部下に事情を説明せずに命令を下すのは不可能に近いだろう。いくらレヴァノイアが君主のカリスマ、神秘性で成り立っている国とはいえ、限度がある。


「では今度はそちらの番だ。サドゥアの魔法陣に書き込む条件を言ってもらおうか」

 望み通りとはいかなかったが、この条件ならば上々といったところであろう。決して悪くない。あとはどんな要求をされるかだ。


「こちらの要求は単純明快。これより俺が施す封を破らぬこと。そして俺の問いに嘘偽りなく応えることだ」

「それだけか? どうやらその封印に相当な自信を持っているようだな」

 俺の要求を訂正してきたあたり、なかなかの曲者だと思ったのだが、過大評価であったのだろうか? いや、まだ油断はできない。俺は今までほぼ全ての魔法を知り尽くしているつもりでいたが……、俺の知る範囲での魔法ではないのかもしれない。とにかく極時空魔法使いのやることは何もかも滅茶苦茶だ。俺にはとてもじゃないが想像がつかん。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2010年01月23日 12:17 |
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Successor Of Dragon  その61

しゃぶしゃぶうんめぇ
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 場が一瞬の間、しんと静まり返った。奴の目が見開いた。ハノーアのような真っ青な瞳がこちらを睨みつける。あらためて見るとまだまだ小僧、少年の顔つきだ。俺は先程の言葉から奴がもしかすると俺たちの仲間、すなわち不老不死の存在であるかもしれないと思ったが、やはりそうではないらしい。

 奴は青い生気の無い唇をわなわなと震わせて声高に叫んだ。


「哀れなものだ。貴様に付き従っている組合員どものことを思うと、どんなに嘆き悲しもうとも嘆き足りぬわ! 自分が何を言っているのか、本当に理解できないのか!? おのれ! おのれぇ! 貴様のような輩が何故魔法陣を、あの美しき調律を生み出すことができたのだ……時に天の気まぐれというものはこの俺を、生きとし生ける魔法使い全てを見事に裏切ってくれるものよ」

 当然の反応。予想していた通りの返しであった。奴の憤りが一度全て吐き出されるまでは、これ以上俺から何を言おうとも無駄。致し方ないがそこには圧倒的立場の差がある。忍耐力には自信がまるでないが、俺に他に選択肢はなかった。


「愚鈍な貴様に分かりやすく教えてやる。アルフェイリア・グロスヴァンドはな、俺が! いや、レヴァノイアが! 最も優先して倒すべき二人の敵の内の一人なのだ。そうだ! シャドウ・ディスケンス! 貴様と並んでな! いや、レヴァノイアという大儀を抜きにして俺個人の勝手な意見を述べるなら、貴様の方が優先順位は上だがな? 今ここで、アルフェイリアと同じ末路を辿るがよいわ! ……ふん。貴様だろう? 本来ならば即死であった筈だ。その口ぶりだとどうやらアルフェイリア国王は我が盟友の『マリウス』が刺さってもかろうじて生命を保っているようだからな。死者を生き返らすことを頼んでくるほど狂ってしまっている訳ではないだろう? 全て開発者である貴様の処置であることは明白」

 『マリウス』。その言葉はひたすら耐え抜こうと言葉を受け流していた俺の頭に響いた。あの蛇の魔法の名のことだろう。俺は、自らが完璧に使いこなせない魔法には、例え俺自身が生み出したものであろうとも名など付けない。名付け親は俺ではない。


「俺はな、貴様をこの手で倒すために我が腕を磨いてきたと言ってもよいのだ。貴様がこれ以上我が国に害を齎す前に! 何より、最強の座に胡坐をかいてのうのうとしている貴様の鼻をへし折ってやるためにな! だが貴様は不老不死だ。息の根を止めることはできん。唯一は……貴様が自ら絶望し、圧倒的敗北を、即ち力量の差を俺に対して認めさせること……それが目標だった」

 叫び続けていたもう一人のセイの声から、少しずつ力が抜けていった。

 ……奴の目標が、奴の望まぬ形で実ってしまっていたからだろう。何より自分自身のことだ。奴が望む俺の絶望、圧倒的敗北の認知。それらは既に、あの隕石降下の魔法を放たれた時から……いや、その前にあの大量の空間転移の魔法を放たれた時から既に、認めてしまっている。奴もそれを察しているのだろう。


「俺にとって、今の貴様など討ち取るのに何の価値も無い……無い! だが、我が国に、レヴァノイアにとって貴様の首級程価値のあるものはないのだ。認めたくはないが……アルフェイリアよりも」

 今度は先ほどの威勢はどこへやら、消え入りそうな声になった。立場と感情の板ばさみ。奴の国を想う心に期待できるというのなら、望みはあるのかもしれない。


「……お前は国王代理だ。優秀な国王ならば、己の意思よりもレヴァノイアの意思を優先するだろう」

「何が言いたいのだ」

「俺は、俺の命が交換条件として成立するならば受け入れるつもりだ」

 俺のしでかした失敗を、俺個人の感情で裁くとするのならば死を軽く超越している。魔法使いの長に立つ者が魔法に溺れ、相手の魔法に敗れるという様は万死に値する。何度殺そうとも足りない程だ。心からそう思っている俺にとって、そんな条件など軽いものだ。尤もこれは、死を軽んじている思い上がりからくるものかもしれない。俺は死ねないのだ、否定はできない。


「……貴様は不老不死だ。貴様の命だと? 笑わせるわ。盟友レジーの『マリウス』でさえ貴様には届かないだろう。レジーが長年研究して磨き上げた神剣アフラ・マズダでさえ、貴様の命には届かなかったのだ」

 また俺は『マリウス』という単語に反応し、少し眉間に皺を寄せた。


「では、仮に俺の命を差し出すというのなら、アルフェイリアの容態を救うというのか?」

「俺は仮定の話をしにきたのではない」

「俺が死ぬ、それは俺がル・ルヴァオールに加担できないということと同義。そしてその国民が、組合員が、俺が死んだのだと思い込めばいい」

「……貴様をこちらの手で束縛し、死んだものとして扱い、偽りの弔いをたてるということか」

「そうだ。……返答を聞こうか」

「……腐っても貴様は魔法組合長、失われし魔法大国の王。貴様の自由を奪おうとしたところで、奪いきれる保証があるのか?」

「……お前こそ、腐ってもレヴァノイアの直系、類稀なる魔法の才に恵まれた天才だろう。そう心配するのならそれ相応の魔法をもって俺を縛るがいい。あるいは、お前なら俺にかけられた不老不死の魔法すらも超越して、本来の俺のあるべき姿に戻すことができるかもしれないと思っていたのだがな」

 先ほどの饒舌さが嘘のように口数の減ったレヴァノイアの国王代理とは裏腹に、俺の口は軽やかに言葉を紡いだ。この交渉が成立したも同然の反応であったからだ。


「…………それは無理だ。俺は貴様のように殺意がない。他人を苦しめ、陥れてやろうと心の底から願えない。頭ではお前に生命としての死を与えてやりたいと思っている。……だが、できんのだ。今まではそれが無くともよいと思っていたが、今はそれが……貴様が持つその意志が喉から手が出るほどに欲しい」

 俺を貶しているのか分かりかねる発言をしながら奴は俯いた。紺色のローブがより悲壮な色を浮かべている。これを発言したのが他の者であったのならば嫌味にしか取れないが、こいつは本気で俺のことを羨ましいと思っているのだろう。面白い皮肉だ。

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  1. 2010年01月23日 12:14 |
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