戯言がいっぱい。

めもちょー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --年--月--日 --:-- |
  2. スポンサー広告

やぷー

ついに実家からペンタブを持って帰り、環境が整いました。
絵かくぞーとしたいところなんですが、
このパソ、画面小さくて・・・
以前のような更新はできないかもですな

まあそんなどうでもいいことは置いといて だなぁ
楓とはれて両想いになりました うっふん
これで彼女は私のものです やったね

あ、相互リンクのことね。


ひさーびさのリンク更新。いえーす。

拍手ヘンシーン
>楓
ついにどうでもいい認定をされていた彼女までも気に入っていただいたとはぐふぅっ
メテオが大好きなんです。ゲームでも必ず最終技にいれるのです。
メールが楽しみすぎて頭がおかしくなりそうだ しぬる
スポンサーサイト
  1. 2009年05月18日 17:52 |
  2. 戯言
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ふふーん

SODの更新スピードが尋常じゃない。
たのしい、楽しいぞ自己満足!!

もっと書けたらオリ小説リングにでも参加させようかと思う。
主人公をへたれさせるのが趣味なのさー。むふふーん。




次からも好きな場面なので楽しむかな。
  1. 2009年05月07日 01:28 |
  2. 戯言
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Successor Of Dragon  その54

4章終了ー。山場は早かった。たのしかたー。
次からも山場でござる。
サイトで一気に見るならこちら






「さて、喧しい奴も消えた。ヘルゼよ、言いたいことを言うなら今だぞ」

「まずはこれからのことです。先陣三万、王の手足の半数、そして貴殿ら魔法使い。対するレヴァノイア軍の第一部隊、第二部隊、それぞれ五万。おそらくは相手方も魔法使いを起用しているでしょうな。勝算のほどは」

「中央軍がくるまでの日数を考えて、第二部隊との交戦までの間に援軍は期待できそうにないな?」

「はい。まずは先陣の三万で凌ぐより他はありません。ここの備えを詳しく聞かせていただきたい」

「一応、国から派遣された常駐軍が一万いる。また呼び出せる龍の数はおよそ百体。組合と連結した砦には五十万の人数が半年食える程の食料を蓄えてある。砦、および組合には魔法で障壁を張っている。硬度指数はおよそ70だ」

 非魔法使いに、魔法使いたちの力量を知らせるためにしばしば様々な用語を編み出して伝えることがある。魔法壁の硬度を数値化して伝えたこれもその一つで、あまりあてにはならないが、強いか弱いかの判断はできる。ただ単に強い魔法壁を張っていると伝えただけでは、相手も信用できまい。

 魔法壁の硬度を測るにも、それ専用の魔法具を創り出す必要があった。それにしても非魔法使いとの交流は全く面倒だ。普通の魔法使いならば、魔法壁の硬度などは肌で感じさせ、数字よりも実質的に伝えることができるのだが。


「数は劣っているが、備えを考えるとそう不利でもない。勝機は充分にある。やつらがこちらへ北上したということは、必然的に短期決戦を挑んでくるだろう。兵糧の限界を考えて、奴らは三ヶ月以上の戦はできまい。数が増すならなおさらだ。問題は……」

「士気ですな」

「その通りだ。奴らの士気は最高潮だろうが、こちらの士気は……言うまでも無い」

「ビビ様に全てがかかっているということですな。早くも、成人して早くも、そんな宿命を背負わすことになってしまおうとは……」

「こればかりはな。妹ならば、兄の神話伝説がある程度は適用されるだろう。俺が何か言ったところで、ここにいる常駐軍ですら言うことを聞いてくれるかどうか」

「国王のこと、どう言い訳されます」

「それこそビビ次第だ。案を出せというのなら出すが」

 だが、ここにいる常駐軍や組合員はともかく、城からくる援軍どもは、レジーのアルフェイリアの命を引き換えとした開城要求を聞いているのだ、アルフェイリアがただならぬ状態であることはもう承知しているはず。ただの怪我などと嘯いて誤魔化すことはできない。


「正直に言わないと、駄目なんじゃないの?」

 嘘をついてはいけない。初歩的で一番根幹的な俺の躾を忠実に守っているセイは、言い訳という言葉そのものに不快感を示していた。この世間知らず具合が、こいつの未熟さ、人間っぽさを暗に示している。


「セイ、餓鬼は黙っていろ」

「まあまあ。しかし、王にはある程度の神秘性がいるものなのですよ、セイ君。何もかも丸見えでは、威厳がなくなってしまうのです」

 アルフェイリアがいつも悩んでいる通り、偉大なアルフェイリア国王像のその大半は民衆の群像だ。国民が勝手に想像を膨らませて出来上がった、非の打ち所のない理想の国王像だ。人間というのは不思議なもので、知り得ないことがあれば勝手に想像で補ってしまう。たとえ目に見えぬところに九の負の部分があったとしても、残る一の優れた部分が公に表れていれば、その人物は全てにおいて優れた人物という一般認識がなされる。ヘルゼはその辺りも熟知し、国民に与える情報を取捨選択して王に貢献してきたのだろう。国民にとっては迷惑千万だが、その帝王学の心得は凄まじいものがある。恐らくはアルフェイリアの不敗神話を作りあげたのは、本人の武勇もあるが、この頭の切れる宰相によるところが大きいだろう。油断ならん狸じじいだ。

 魔法組合の内部には、魔法使いの住処らしく魔法具があちこちに散りばめられている。魔法に心得の無いものが訪れた場合、まるで何ももの知らぬ幼児のように未知への興味を示すものなのだが、ヘルゼは魔力式スタンドにも伝達用の鳥や鐘にも目をくれずただ俺の後ろを黙ってついてきていた。

 本来ならば、誰も、セイですらも入れたくはない俺の私的空間に、新たな客がまた一人来訪することとなった。五人。俺の部屋には、今までにありえなかった人数が押し寄せてきている。


「王!」

 セイが俺の部屋に通じるための魔方陣を作動させ、到着してからすぐにヘルゼは駆け出した。ビビの指示を仰ぐだとか何とか言っておいて、やはり奴の優先する人物は依然アルフェイリアのようだ。


「ビビ、当たり前のことを聞くが、様子はどうだ」

「ずっとこのままだよ。何にも動かない」

「王よ……! なんと痛ましい姿になられた」

「ヘルゼ、ごめんよ」

 普段俺が愛用しているソファーが、いつもより小さく感じられる程の体躯を持ちながらひたすらに眠るアルフェイリアの傍らで、ヘルゼは跪いて目をつぶり、今ある現状を憂いた。


「何を謝ることがあるのです、ビビ様。これは私めの不義不忠の所為によるところ……私の犯した大罪です」

 アルフェイリアの行いは、兄として正しく、主として正しくない。そして優先されるべきは後者。帝王学では当たり前だがそう教えられる。ヘルゼは自分の教育が行き届かなかったためだと嘆いているのだろう。

 ヘルゼは急に立ち上がり、今度はまたビビの元に跪いた。やわらかい絨毯にこれでもかというほど強くヘルゼの足が食い込む。


「ビビ様、これよりあなたが主君の代わりとして、国の全ての責任を負うことになります。この国を、ル・ルヴァオールをお導きあれ」

「うん、分かった!」

 もとよりビビは、ここでアルフェイリアの様子を見ている間、あるいはそれより以前から覚悟はしていたのだろう。この国は君主指名制だが、アルフェイリアは次の君主を指名してはいない。この場合はどう足掻いても次の候補はビビとなる。他に有力な目立った候補など、いたとしてもビビの影に霞んでしまう。

「俺からも頼もう。この組合の全ての設備、好きに扱うと良い。ある程度は把握しているだろうが、分からんことがあれば聞いてくれ。だがここにいる魔法使いどもは未だ未熟なものども、とてもじゃないが使えん。有用な魔法使いは軍とともにじきにこちらへ来るだろう」

「おっけい。君自身は?」

「……それだが、セイ、第一陣の進軍速度から計算して、やつらがこちらへ到着するにはどれ程の日数がかかる?」

「正確にはまだ分からないけど、このままだと、二十日間くらいだと思う」

 思ったよりも緩めの進軍のようだ。人馬龍いずれもに存分に休息をとりながら、万全の状態で挑んでくるとみた。そして、その日数なら、存分に俺の、密かに決心していたことを実行する余裕がある。


「少しだけ、俺に暇をくれ。どうしてもやりたいことがある」

「馬鹿なことをおっしゃりますな、今がどういう時期か、分かっておいででしょう!」

「君も人手として考えていたんだけど、何するつもりなんだい?」

「それは言えん。余計な期待を持たせたくはないのでな。だが、必ず戦が始まる前には戻ってくる。これだけは約束しよう。それに、もう俺の威厳が利くとは思えん」

「分かっておりませんな。貴殿が束ねる魔法組合であるからこそ、同盟の意味があったのですぞ」

 それも、充分に分かっている。俺がどうこうした訳ではないが、アルフェイリアの神話の要因の一つに『あの魔法使いが同盟相手として味方している程の器』であることが挙げられる。つまり、俺にも勝手にのしかかっている伝説が、ル・ルヴァオールの国王の神秘性を助けているのだ。勝手なとこに俺を制御できるのは奴のみだという一般認識がなされている。非常に鬱陶しいが、放っておくより他はない。


「ところで余計な期待ってなんだいなんだい」

「そうだよシャドウ、何だかとても重要なことをするんでしょ? 俺、ついていくからね」

 ビビとセイはそれよりも俺が何を成さんとしているかの方に興味を持ったようだ。


「まだ、話せん。成就するまではな」

「それは、どんなことよりも、今ビビ様が始めて軍を束ねることへの助力をすることよりも、重要なことですかな」

「勿論だ。俺は優先順位を誤っているつもりは微塵もない」

「うん、ならいいよ」

 またもはビビはあっさりと判断をした。事の次第が分かってからのビビの決断の速さは賞賛に値する。それがいつか判断を見誤ることに繋がらねばよしとしよう。優柔不断であるよりは余程いい。


「重ね重ねすまん。本来ならば、ただの責任放棄として見られるだろう」

「そうでしょうな。ですが、ビビ様の決めたこと、もはや私がともかく言える次元の話ではありませぬ」

 そもそもがヘルゼは俺を完全には信用していない。というよりは、魔法使いを信用していないというべきか。アルフェイリア程の付き合いもなく、さりとて全く魔法使いのことを知らない訳でもない。立場的に丁度奴と俺の距離は、奴から見て魔法使いという存在が最も胡散臭く見える距離だろう。裏で何をされているのか分からないと、ましてや幻影魔法の類を身を持って体験したのだ、俺がヘルゼの立場であれば疑心暗鬼の念に駆られているところだ。


「だって、超重要なんでしょ、んじゃあ重要だよそれは」

 だが、ビビ程魔法使いと接する機会が多くもなれば、蓋を開けてみれば魔法使いは案外単純な思考で動いている、ということが分かってきているはずだ。根本的には、同じ人間としての思考を持つ者同士なのだと。ある一部分において偏ってはいるが。


「おそらく、何よりも優先せねばならないことだろう。ところでセイ、お前はここに残っていろ」

 俺の決心した顔を見て、セイにもその緊張が伝わったのか、俺は俺についてくる心積もりで同じく気持ちを切り替えていたらしき小悪魔の覚悟を挫いた。


「な、何でっ、まだシャドウだって、完全じゃないのに」

「何でだと、理由が欲しいか? ならばくれてやる。まずはここの設備を全て把握しているのは俺とファルマとお前のみ。ファルマは寝込んでいる。また、復活したとて未熟なここの組合員どもの指導に当たらねばなるまい。となると俺とお前がいなくなれば誰がビビにこの魔法組合の特性を伝える? お前には、俺が今からやらんとしていることの代役は果たせん。第二に、俺の今から成さんとすること、それにはお前がいては邪魔だ。腕の出来不出来を問題としているのではない。他の誰でも無理だ。第三に、お前がここにいなければ、組合に何かあった場合の危機の信号を誰が俺に伝える? それはお前の役目だ。さて、これだけ理由を与えてやった。分かっただろう、決してついてくるな」

 セイは泣き出しそうな顔をして俯き、手を震わせた。余程悔しいらしい。それでも泣くことは我慢しているようだ。少しは進歩しているのか。

「シャドウ殿、何故に貴殿は貴殿を慕う者をことごとく退けなさる」

「シャドウは鞭だね。でも、飴は今はどこにもないぞっ」

 本来、飴はファルマを初めとした他の師となるべき魔法使いどもだ。だが今はいない。よってセイたち弟子どもに与えられるのは苦痛となる鞭のみ。飴と鞭は二つ備わって始めて効果があるものだが、俺には飴は与えられない。できないものはできない。

 そして適うならば、俺はこんな御託を並べている暇もない。出来得ることならば今すぐ出発したい。俺は横目にアルフェイリアの相変わらずな状態を見やり、より決心を固め、部屋の出口へと向かった。


「まさか、もう行っちゃうの?」

「そのつもりだ」

「シャドウ、成功させてくれたらおいらは嬉しいぞ。龍ありがとね」

 もしかしたら、ビビは何となく勘付いているのかもしれない。俺がこれからしようとしていることが何なのか。その方法は分からずとも、目的を。

 俺は振り返らずに部屋を、組合を後にした。駆け寄ってこんとする弟子どもを振り払うため、近くの窓より飛び降りた。龍は使わない。呼び出している魔力ももったいないが、何より黒龍を休息させたい。来るべき戦いの時のために。

 目指すは、活火山バノンの頂。大陸最大の休火山フォルテウスと同じルヴァル山脈(ルヴァオールの国の名前の由来なのか、はたまたこの山脈の名前がルヴァオールを由来としているのか、いずれかは不明だ)のうちの一つである、百年に一度は噴火すると云われている危なっかしい山だ。俺はそこの火口付近に用がある。できれば取りたくなかった手段だ。だが、仕方がない。

 魔法組合は丁度この活火山バノンと双子になっているバノンよりも一回り小さい山を切り崩して作られている。危ないと思うだろうが、組合にかけた保護魔法により、いつ噴火しても被害はほとんどないし、それ以外においては有用で、戦時においては地の利を取れるのだ。

 魔法を使わずとも、一日経たずに行ける。頭の隅では拒否しつつも、俺の足は割り切ってしまったようで、俺は無意識にその場所へと向かってしまっていた……活火山バノン。懐かしい、かつての修行場へ。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009年05月07日 01:25 |
  2. SOD(小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Successor Of Dragon  その53

病弱っ子登場
サイトで一気に見るならこちら






 組合へ着いた途端、組合で留守を任されていた組合員どもがここぞとばかりに俺を出迎えた。その表情からは曇りの色が見て取れる。つい先程、アルフェイリアが担ぎ込まれてきたのだ、当然であろう。

 龍は着地のための山の斜面を広く平らに削った飛空場(龍の乗り降りの拠点。魔法使いたちの交易の場でもある)へ舞い降り、俺はすぐさま群がっている生徒どもに尋ねた。


「あの兄妹はどうしている」

「先生、王様は……先生の部屋で休養しています」

「先生、一体どうなっちゃったんですか。城で何が起こってるんですか」

 俺はすぐにでも自分の部屋へ戻り、分かりきっているアルフェイリアの容態を確かめつつもビビの指示を聞こうとしたのだが、魔法組合長として、さすがにそうもいくまい。城のあの惨事は、いくら未熟な魔法使いの卵たちといえども、容易に読み取ることができただろう。

 俺は視線を流し、ヘルゼに支えられてやっと龍から降りるファルマに合図を送った。

 ファルマが手を叩く。それと同時に、四散していた弟子どもが先程の喧しさの面影もなくぴしりと整列をした。

 俺は多少声を張り上げていった。拡音魔法を使うまでもないだろう。


「この組合に、敵軍が攻め寄せている」

 場が急にざわめいた。弟子どもは互いに互いの顔を見やった。約二百人。一人一人の声は大したことはないが、合わさればなかなかの喧しさだ。


「とりあえずは余計な心配をせずそれだけに集中しろ。無論、お前たちが戦う必要はない。万が一の事が起こった場合でも、そのための避難所を設けてある。お前たちの命は間違いなく保障する」

 魔法に絶対はないのだが、レジーを含めたレヴァノイアの性格上のことを考えても、未熟な魔法使いどもを手にかけるということはないし、避難所の魔法壁の強さはハノーアにかけてやっていた保護魔法に匹敵するレベルのもの。まず問題はないだろう。

 俺は一番肝心なことを話したつもりで簡潔にそれだけを伝え、最上階に戻ろうとしたが、思わぬ静止が入った。


「何か、私たちにできることはないんですか、先生!」

「は? 何の話だ」

「師匠、俺たちはこのために魔法を教わってきたんですぜ!」

 一体この餓鬼どもは何を言っているのか、一瞬理解することができなかった。それ程までに、この言葉は俺にとって予想外であった。


「まさかとは思うが、余計な干渉をしようとしているのか。馬鹿かお前たち」

「馬鹿ですもん!」

「そのまさかです!」

 わらわらと、俺を囲むように集まってくる弟子ども。疲れが未だ完全に抜けぬとはいえ、このままの状態にしておくのはまずい。俺は大声で制した。


「足手纏いだ。その前に俺はお前たちを戦力として見たことはない! 未熟な魔法使いの未熟な魔法がどれだけ危険なものであるか、分かっていないようだから言っておいてやる。無駄だ、引っ込んでいろ! お前たちができることといえば何も干渉せず騒ぎ立てずこの組合に大人しく立てこもっていることくらいだ!」

 怒られた時の恐怖と悲しみと驚きの混ざったようなそれぞれが複雑な表情を見せながら、蜘蛛の子を散らしたように弟子どもは戻っていった。


「シャドウ殿、今の言葉はどうですかな」

「いつものことよ、皆慣れてるわ。今いた子たちはシャドウに一度でも魔法を教わった子たちだから」

「しかし。上に立つものとしての態度ではない。あれでは誰も貴殿について行きませぬぞ」

 ヘルゼは今、俺の魔法組合を束ねる長としての主導力に言及しているのだ。かつてアルフェイリアに帝王学を叩き込んだ時のように。しばしば俺とアルフェイリアを同一視しているような素振りを見せる。だが、冗談じゃない。ついてきて欲しくないから言っているのだ。


「でもシャドウ、あんなの俺だって怖いよ……」

 俺は実力以上の背伸びをする奴に対して厳しい態度を示しているはずだ。己の力を理解していない奴はまず何もできやしない。まさしく今回の俺にも言えることであるが、大抵悲劇を招くことになる。

 俺はセイの言葉を無視して、最上階へ向かった。その途中で俺は立ち止まり、救護室の扉を開けた。丁度良い。


「オルカ、手は空いているか」

「ま、ますたー! だだ、大丈夫ですかっ」

 見るからに挙動不審な様子で、ばたばたと慌てながら、机の上の魔方陣を散らかしながらオルカは俺を中へ迎え入れた。


「俺ではない、ファルマだ」

「ふぁ、ファルマさん! 大丈夫ですかっ。で、でも、マスターも、なんだか……平気じゃなさそうです」

 俺の普段の魔力に比べれば、明らかに劣っていることは魔法使いなら誰でも分かる。ファルマもそうであるが、俺の魔力が大きいが溜めに、その落差が目立ってしまうのだろう。


「俺は放っておけば治るが、ファルマはそうもいかん。龍炎だ、肝心なところは治療してある。後を頼むが、任せても平気だな?」

「は、はい……た、たぶん」

「多分では困る」

「き、きっと!」

「よし、任せたぞ」

 オルカのきっとは、まあ安心できるレベルであろう。性格が端的に示すように、治癒魔法が得意なこいつだけは魔法組合に残して魔法関連の怪我の治癒をさせている。何しろ意志薄弱で臆病者のため、育ったこの組合から離すのは得策ではないだろう。やたらと物騒な事件も起こる国に派遣したら失神しかねん。魔方陣の腕などは大したものなのだが。


「お前はそこでしばらく寝ていろ」

「……いいの?」

「何か貢献できるというのか、その状態で」

「そうね、お言葉に、甘えるわ……」

 今の言葉は、我ながらファルマの憤怒を受けるのに充分な言葉だったと思うのだが、ファルマは黙って救護室の布団にもぐりこんでしまった。余程の疲労だろう。俺も奴も、まさしく満身創痍だったのだ。組合に戻ってきたことで、心は自然と安らぎを求めてしまったのだろう。奴にとって、ここは故郷も同然なのだ。

 セイがファルマの顔を覗いた。


「ファルマ、元気になってね」

「あんたはシャドウの心配でもしてなさい」

「あの、本当にマスターは大丈夫なんですか……」

「いらんといったらいらん。そんなところで休んでいてはこの宰相様に申し訳がたたんからな、では頼んだ」 

 俺はちらりとヘルゼに視線を向けた。ヘルゼは黙って頭を下げた。

 ファルマを置き去りにし、再び組合の長い廊下を歩みだしたところで、予想をし尽くしていたことだが、途端に周りを包み込んでいる雰囲気ががらりと変化した。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009年05月07日 01:20 |
  2. SOD(小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Successor Of Dragon  その52

めておぉぉぉ
サイトで一気に見るならこちら





 それは秒を数える暇もなく城へ激突し、大きな花火のように光を放ちながら爆発した。光は城を覆った後、熱波となって津波のように周りへと広がっていく。アクルドの飛行速度はそれを上回って城から遠ざかっているため、その熱波の餌食とはならなかった。熱波は城の周辺を蹂躙しつくした後、静かに消えていった。

 流石の龍の図太い神経も、これにはまいったのだろう。少しアクルドの飛行速度が下がった。後から遅れて爆音が耳に響いてくる。聞き慣れない……いや、俺の生涯、この千年を通して聞いたことのない音だ。


「……は? ……」

 どんな状況にも慌てず、冷静な判断を下せると専らの評判であるヘルゼが、一番最初に発した言葉であった。無理はない。俺も今、訳が分からない状態だ。空間転移の事件よりも。


「あの……さ、シャドウ。あれ、なんなのよ、あれ……」

「城は、皆はどうなっちゃったのっ、シャドウ!」

 同じ龍の背に乗っているのにも関わらず、周囲の奴らの声が遠く聞こえる。恐らく、一番衝撃を受けているのはこの俺だろう。


「……確かに、変だとは思っていた。アルフェイリアが重症だとはいえ、レジーだとてそのはず……、だが俺は無事。わざわざ転移魔法を使ってまですることではない。もっと効果的な手が考えられるはずだ……だが、違った。まったく予想は外れていた。奴らが転移魔法を使ってきたのは、こちらへ危害を加えるためでは無い。逆だ。城から国民どもを外へ逃がさんがため……。最高位の時空魔法から……」

 隕石を降らせる。大きさ次第では全てを壊滅状態へと追いやるその攻撃もまた、時空魔法である。そしてそれは、空間転移すら上回る、最高峰の難易度を誇る魔法である。場合によってはこの大陸を、そしてこの世界を一発で滅ぼすことすら可能にするその魔法の難しさを端的に表すとするならば、それは不老不死に匹敵する。


「開城要求の目的は、城の占領などではない。一般人らを逃がすためのものだ。あの魔法は、予め放っていたものだろう……。魔法発動から衝突までの大きな時間のずれがある魔法だ……。そして、これこそが、これこそがレヴァノイアの、こちらに潜入者を寄越さなかった真の理由だ」

 俺以外の者があまりの状況に声を出せずにいる中で、俺の口は淡々と冷静に今の状況を説明していた。信じられない現実を否定する一方で、これまで不可解であった全ての辻褄が合わさってしまい、妙に納得し整理されてしまった自分の頭が何とも憎らしい。

 数分間の沈黙があった。龍の風を切る音だけが無常に響く。城の方向を向けば空が赤く染まっている。

 ヘルゼが切り出した。


「国は……ル・ルヴァオールは……終わった……」

 その言葉はこの場にいる者全ての気持ちを代弁しているようだった。

 圧倒的な絶望感と、虚無感がそこにはあった。城から随分と離れたのにも関わらず、赤く染まっている城があったはずの方面の空を見るに、城はもはや跡形もないだろう。想像はしなかった。

 そしてウィスパは、国民は。死んだのだろうか。それを逃すために、レジーはわざわざ転移をし、騒ぎを起こしてやってきたというのに。俺の思わぬ奮闘は裏目に出てしまったとでもいうのか。

 そして俺は心の中で決定を下した。

 レヴァノイアに控える謎の魔法使い、恐らくは国王代理は、恐らくは俺よりも数段上の魔力を持つ魔法使いであろう。少なくとも、時空魔法に関しては俺はそいつの足元にも及ばない。俺は一応は自分の腕に自信を持っている。魔法使いとしての知識の量も、魔法形成の正確さも、速度も。相手がどれだけの補助と時間を練ってやったかは分からないが、少なくとも未成年と聞く若造と思わしき者に、これだけの能力があるとは。

 これからは覚悟をしてかからねばならない。余裕などない。今までは優勢の立場から、その優位な立ち位置を崩さぬよう慎重な構えを布いていたが、これからは違う。基本的に戦とは、勝ち戦しかしてはならないものだ。相手よりも戦力が上の時のみ戦うべきもの。数ある歴史書の奇策に惑わされる愚者は腐るほどいるが、世の中にある大半の戦などは基本はまともなぶつかり合いが殆どだ。そしてほぼ、結果は戦が始まる前の戦力から予想できる通りになる。だが、相手より戦力が著しく劣っていると、そのまともな戦い方ができなくなってしまう。つまり殆どの戦法が通用しないのだ。数で押し切られてしまう。となるとまさしく、歴史書や偉人どもの残した有難いらしき兵法の書にあるような奇策をとるしかなくなってくる。先程レヴァノイアがやった、空間転移と隕石投下の魔法のようなものはまさしく奇策と言えよう。だが残念なことに、俺にはあんな訳の分からない次元の時空魔法は使えない。

 せめてアルフェイリアがあんな状態になければ、レヴァノイアの主力の魔法使いはほぼ使い物にならなくなったのだ、単純な兵力差が現れるものだが……。残念なことに、軍の士気は全てアルフェイリア如何で決まってしまう。それはル・ルヴァオールがアルフェイリアの神話伝説にのっとった神秘性に国の威厳の拠り所を頼り切ってしまっているせいでもある。加えて、王の手足のあのシステム。アルフェイリアがビビに権利を譲らない限り、王の手足の命令内でできることなど限られている。最悪だ。

 落胆している俺に、セイが何かを振り切るように伝えてきた。


「シャドウ、シャドウ聞いて、ほとんど皆生きてるよ! たぶん! 城のところにいる人ひとたちの人数全然減ってない!」

 俺を励まそうと一生懸命なんだろう。それで励まされるのはどちらかというと俺よりもヘルゼのほうなのだが、ヘルゼもわずかに眉を動かした程度でまともな反応を示さなかった。ただ一人、ファルマがほっと安堵したような表情を僅かに見せた。


「天から災いを降らせるなどと……神か、悪魔か」

 ヘルゼの呟きは、まさしく俺の気持ち気持そのものだった。魔法に従事していたからこそ分かる。こんなもの、おかしい。

 だが確かにそれは良い知らせではある。人さえ残っていれば、また城は再建できる。国がその間残っていればの話だが。俺には城の人数の多寡などこの距離からは探れはしないが、セイの魔力探知の信頼性は高い。確かな情報だろう。

 おそらくは時期を鑑みるに、これは一年前からの計画。急に間者を送り込んでこなくなったのも、戦を中断したのも……、全てはこの時のため。レヴァノイアは、レジーは城のみを壊そうとしていたのだ。下手に味方に危害を加えることも、ル・ルヴァオールの国民どもを危めることも避けようとしたのだ。僅かに伺えるその微妙なお人よし加減が、殊更に俺の疳の虫に触る。千年前から何も変わっちゃいない。レジーの理想論は健在だということだ。忌々しい。

 粉々に砕かれたヴィズモンツァナ・グラーリー城は、アルフェイリアら王族の住処でもあるが、同時に最大の要塞でもある。今回の件があるまで、一度も陥落したことがなかった。それが衰退期のル・ルヴァオールが滅亡しなかった最大の理由である。城の城壁、城下町をすっぽりと覆いつくしたそこには、百万人以上の人が住んでいると言われている。まともにぶつかったら、勝てはしないと踏んだのだろう。

「もうすぐ着くけど……どうするのよ、これから」

 悲しみに浸っている暇は、この龍の背に乗っている時のみ。短いが、無いよりは幾分かましだ。流石にファルマの駿龍は、なかなかの速さを誇る。

 追い詰められたこの状況下で、俺は最後の手段を選択する決心をしつつあった。これだけは、どうしても俺のプライドが許せないのだが、しかし、今はどうしようもない。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009年05月07日 01:17 |
  2. SOD(小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Successor Of Dragon  その51

サイトで一気に見るならこちら






「これは、なかなか……」

「気持ちいいでしょ」

「……そう、ですかな…」

 ヘルゼには気持ちいいなどという余裕を感じている暇は無いはずだ。なにしろ龍に乗ったのはこれが始めて。加えて、この龍の速度は相当なもの。そんな中で、主君への不安を抱えながら飛行する。俺には想像もできん苦しみだ。

 飛行の揺れが安定し始めた頃に、俺は後ろを振り返り、苦しそうに背中を庇うファルマの方を向いて言った。


「ファルマ、背中を見せろ」

「嫌よ」

「何故だ」

「嫌だからよ」

「また意味の分からん固辞か。いい加減にしろ、死にたいのか」

「ふん、よく言うわ。私を治す魔力もないくせに、アルフェイリア様を治せなかった癖に」

 この言葉に反応したのは、俺だけではなかった。側にいるヘルゼが、受ける風に目をつぶりながらも明らかにこの言葉に反応を示していた。


「俺が魔法組合長なら、ファルマ、お前は副組合長だ。俺が不甲斐無いと言うならば、せいぜい巧みに俺をサポートするのがお前の役目ではないのか? くだらん意固地でむざむざ組合を潰したいと言うならば、お前を副組合長にした俺の見込み違いであったと言うことになる。俺は人選を誤ったつもりではなかったのだがな」

「……分かってるわよ、そんなの……」

「まあお前の意図も分からんでもない。その傷の深さは探らんでも分かる。セイ、俺の指示通りにやれ」

「うん」

 セイは龍よりも数段優れた炎を吐き出すことができる。つまり、その対処法も分かっているということだ。その炎を受けた場合の処置も。しかし、経験がない。それもその筈だ。龍の炎を受けた場合の対応というような重要な任務は殆ど全て俺がこなしてきた。今この状態、龍の炎を取り除くにはいささか俺の魔力が足りないという残念な状態は本来起こり得ることではないのだ。

 ファルマは他人のお節介は大がつくほど好きであるのにも関わらず、こと自分のことになるとやたらと拒否の態度を示す。俺からすれば矛盾の塊にしか見えないのだが。心配されたくないのだろう、背中に受けた傷を見せまいと庇うその姿が、逆に周囲に自らの容態の深刻さを教えていることになっているとは知らないらしい。馬鹿な奴だ。

 ファルマは恐る恐る背を向けた。もはや人肌とは思えん色をした奴の背は、ところどころ膿が出ていた。化膿を防ぐ魔力もないというのか。ヘルゼが少し顔を背けた。まあ、そうだろうな。俺からしたら見慣れてはいるものだが、あまり心地よい光景とは言えない。

 竜の炎は特殊である。そうは言ったが、そもそも炎と定義してよいのかすら迷うところので、様々な色を持った熱のある発光体とした方が正しいかもしれない。身体に当たれば無論熱により火傷等の症状を起こすが、残念なことに被害はそれだけに留まらず、どうしたことか傷を時間とともに広げていくのだ。まるで生き物のように身体を侵食していき、放っておけばやがて心臓に至る。適切な処理をすることで死に至る前にその炎らしきものを取り除くことができるが、その環境がなければ身体のどの部分に龍の炎が当たったとしても死を覚悟するより他はなくなる。

 子悪魔の炎はこれよりも性質が悪いと言ったのはその通りで、身体を侵食していく速度が龍の比ではない。あまり観察したことはないが、龍が一週間はかかるところをセイの炎は半日と持たずに対象を死に至らしめる。

 だが龍の炎は幾分かましといえど、場所は背中全体。心臓に極めて近い場所だ。この位置ならば一日を争う処置を必要とする。俺は黙って指先でセイに指示を与えた。セイは持ち前の集中力を発揮してファルマの背中の脅威を取り除いていく。己の体力も少し譲渡しながら。俺と同じく、ファルマの疲弊も相当なものだった。しかも俺と違い、回復は極めて遅い。それが普通なのだろうが、俺にはどうしても遅く感じてしまう。

 あらかたファルマに降りかかった災いを取り除き、命に別状無しとまでしたところで、不意にヘルゼが俺に質問をぶつけてきた。


「シャドウ殿……あれは、突然現れた魔法使いたちは、一体全体どういうことなのですか。説明していただきたい」

 それもそうだろう。俺だって聞きたいぐらいなのだ、ましてや非魔法使いどもにしてみれば、もう摩訶不思議といった程度では済まされぬ事態であろう。


「あれも魔法の一つ。空間転移の魔法だ。簡単に言えば、好きなところへ瞬間的に移動できる魔法だ」

「そんなこともできるのですか、魔法とは……」

「できないわよ。できてたまるもんですか!」

 肩を震わせることで、治療に専念しているセイを困らせながらファルマが叫んだ。恐らくは俺と同じ気持ちでいることだろう。


「滅多に使えるものではない。相手の魔法使いとしての腕は、尋常ならざるものだろう」

 魔法というものは、案外役に立つようで立たない、痒いところに手の届かないものだという認識がある。これは、魔法使いでないが魔法使いに関わる機会の多い者どもの一般認識であるが、残念なことにその認識は概ね正しい。人の理想とすることは、確かに理論上はその殆どが魔法で実現できるものであるが、それを実際に実行するとなると、途端に莫大な準備と時間と鍛錬の必要を迫られて挫折してしまう。そこらの魔法使いが実生活で役に立つことといえば、暖炉に火を付ける等の室内の温度調整をしたり、喧嘩を吹っかけられた時に相手を魔法で吹っ飛ばしたりと護身術の一つになれる程度のものだ。一般的な魔法使いの平均の実力など、魔方陣や杖等のある程度強力な補佐がなければ空も飛べない程度なのだ。宙に少し浮ける程度が関の山である。全く、使えないとしか言いようの無い。


「シャドウ殿。私どもにはそちらのことは何も知らされておりませぬ。貴殿率いる魔法組合の人たちが、いいえ……国王の同盟者であるあなたが、何ができて、何ができないのか。不老不死であるかと思えば、人を生き返らせることができなかったり、龍を呼び出すことができるかと思えば、草木の生長を早めることすらできない。その境界線が、私どもにはさっぱり分かりません。国王ですら一部しか把握できていないのです。それではどうしようもありません。貴殿をどう捉えて良いのか、戦力として、どう考えればよいのか……」

 これは難しい質問だ。しかし、当然のことでもある。相手と対峙するに当たって一番重要なことは、己を知ることだ。国としての己の力を知ることはつまり、同盟相手の魔法組合の実力を把握していることも含まれる。分からなければどうしようもない。見捨てることも、頼りにすることもできない。


「その質問に具体的に答えることはできない。正確に言えば、俺は何でもできるし、何もできない。俺に無限の時を与えてくれれば、それこそ大陸の位置、夜空の星の位置すら変えて見せよう。だが、俺は今この状態ではお前を俺の組合に瞬間的に移動させてやることもできん」

「星の位置を……? いくらなんでもそんな馬鹿な、神でもあるまいし……」

「シャドウ、何か、何か変! 変な感じがする……」

 セイのその更なる嫌な予感を沸き立たせるような発言の直後、俺は全身を振るわせるような異様な魔力を感じた。空間転移の魔法を感じた時よりも、数段恐ろしく、不快な。


「後ろを見るな!」

 嫌な予感? 違う、予感ではない。それは紛れも無い現実だ。空間転移の魔法よりも数段悪質で、絶望的な。

 光を帯びた黒い厄災は、突如空からやってきた。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009年05月07日 01:14 |
  2. SOD(小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Successor Of Dragon  その50

そして更新する
サイトで一気に見るならこちら






「あんたの弟……逃がしちゃったわね」

 冷たく暗い広間に似合わぬ様子でファルマは座りこんでいた。よく見ると、傍らに伏す龍が丁度すっぽり嵌る大きさで天井が突き抜けている。繰り広げられたであろう激戦の様子が想像できた。


「よく生きてたな」

「まあね。レジーだけを目指してひたすらに攻撃しまくったのよ。そしたらあいつら、あ、慌てちゃってさ、レジーの盾になろうとするんだもん。笑っちゃうわよね。私だったらあんたなんか絶対に庇わないわよ」

 無理に笑おうとするファルマの作り笑いが空しく響く。痛みでそれどころではないだろうに。


「その背中は龍の炎だな」

 ファルマの煌びやかな服を無残に焦がして、俺が接近したのを感じ取ったのか、肩から腰の辺りまで背中を無残に焼き尽くされた跡をこちらへ見せないようにファルマは俺たちと対峙する形で座っていた。

 だが、そんなものは隠しきれるはずはない。人肉の焼けた匂いを漂わせているのだ。それを隠す魔力もファルマには残っていないのだろう。


「さすがね、隠しても無駄ってことね。どうってことないわよこんなの。こんなの……アルフェイリア様が受けた魔法に比べれば……」

「龍の炎は普通の火とはまるで違う。お前をそのまま放っておいたらまず間違いなく死ぬ」

「知ってるわよそんなの! いちいち余計なことをグチグチうるっさいのよ! だいたい、あんたがっあんたがねえっ。なんであんな奴なんかに負けちゃうのよ! ばか! 信じらんない!! そんなことより、早く組合に戻りなさいよ!」

 ファルマは実際にあの人の命を喰らう蛇の魔法を知っている訳ではない。だが、ある程度はこいつなりに予想がつくのだろう。最悪の事態ということは、少なくとも分かっているようだ。


「分かっている。お前の龍を借りにきた」

 俺は少し回復した魔力で、隣にわずかに息を残していた龍の息の根を止めながらも言い放った。ファルマはしばらく黙っていたが、何かを決心したように胸元に潜ませていたアルフェイリアの顔を模ったアクセサリーを無言で取り出した。そのアクセサリーの瞳と思しき部分には、よく見ると小さなハノーアが埋められている。


「勿論だが、お前もつれていく」

「……私が乗れる隙間なんかあるの?」

「なんとかなるだろう。幸いなことにこの宰相様も細身だからな」

 俺は振り向きながら先程までの会話をただ黙って聞いていた、普段から余計な口を挟まないが大事なことだけは身を乗り出してはっきりと述べる、その忠臣ぶりに定評のあるヘルゼを見た。


「龍に、乗るのですか」

「経験は無い……だろうな。だが、他に選択肢はない。それになにより時間を争うならそれしかない」

「分かりました。この事態です、方法など問題ではありません。早く王の下へ駆けつけることができるのならそれに越したことはない。私もそれは望むところです」

 未だ恐れを知らぬ子供ならばともかく、もう死を身近に感じる年頃になっているはずの老人だ、龍に乗ることは喜びにはならないだろう。身の安全は保障されない。だが、今はそんなことは問題にすらならない事態だ。それはこのヘルゼの態度からも伺える。

 俺はファルマのアクセサリー……相変わらずの趣味の型だ……に願をかけた。ほどなくして、奴の青いボディを持った龍がやってきた。先程俺が奪った龍とほぼ変わらない速度を誇る、これも駿龍である。

 俺はまず傷ついたファルマを乗せ、次にヘルゼを誘った。セイが先に龍に飛び乗って先導する。ファルマの龍、アクルドはその予想外の人数と見知らぬ人物に戸惑った様子を見せたが無視し、俺も最後に飛び乗った。


「ファルマ、この人数で組合に行くのにどれ程かかる」

「そんなの、やったことないわ……。アクルドに聞いてよ」

 普通は龍の疲労を避けるため、三人以上の人数は乗せてはならない。多くて二人。黒龍の許容人数が飛びぬけて高いだけだ。飛龍(背中に人を乗せて飛ぶことのできる龍を総称してそう呼んでいる)は当たり前だが、人を乗せるために生きている訳ではない。そして他の龍よりはいくらか軽いとはいえ、その鋼の筋肉だ。人とは比べ物にならぬ、相当の重量を誇る。本来ならば、乗るべきですらない。それを無理やり人が利用せんとしているだけだ。

 そして残念なことに、アクルドには更なる無理強いをせねばならない。より速く飛んでもらわねばならないのだ。


「お願いよ。今日だけ頑張って」

 ファルマの切ない頼みを、アクルドは受け入れたのだろうか、先程俺が奪った龍と同等のスピードで飛行した。乗せている人数は同じではないのにも関わらず。


「ヘルゼ殿、各将軍への託、しかと承りましたぞ」

 勿論組合へ加勢しにいくのは王の手足のみではない。行軍はやや遅れるだろうが、長期戦を耐え切れるよう、ヘルゼの権限でルヴァオールの約半数の軍を魔法組合へ向かわせるよう指示を出したようだ。王の手足は、恐らくその迅速な動きから組合へ敵軍と対面する前に合流できるだろうが、さすがにルヴァオールの主軍は間に合うまい。


「ウィスパ殿、行軍は国王のかねてよりの指示通りに。先陣を先ずは三万、頼みます」

「分かっておりますとも。それでは、行ってらっしゃいませ、マスター」

 俺は返事をせず、龍に先を急ぐよう促した。この速度ならば数時間はかかるだろう。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009年05月07日 01:11 |
  2. SOD(小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ぬうん

大学が思ったより忙しくて絵とか漫画とか頑張ろうと思ったのに
どれもあんま進んでません。こまったなあ。


今実家に帰ってきてるけど、
やっぱトイレの日めくり四字熟語はいいね。
前はそこから小説のネタを浮かばせていたのどすよ。

ばあちゃん家にも置こうかなあ。



あ、でも小説だけは結構すすんでます。うほほーい


拍手返信
>かえで
ほほうっ
またも読んでしまったのかっ
主人公のせいで幻影魔法活躍の場多すぎるぜ
ダイジェスト版とはなんぞっ もしやあのメールのことかっ
あれとは結構関係なっしんぐだぞ
誤字脱字その他誤用はまあ気が向いたら修正しとく~
メモ帳に入ってたりとデータの場所がごっちゃになってて推敲めんどいです
  1. 2009年05月01日 16:25 |
  2. 戯言
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。